・かくて世界は拓かれた・ 

 レジェンディア大陸。かつて遥かな昔、聖なる光明神アンドレイアと、邪悪なる魔王神バキアの壮絶なる戦いがあったとされる地である。

 聞き伝てるには、光明神と魔王神の戦いは6666の昼夜を数えたと言う。
 無数の魔の眷属を従えた魔王神に対して、光明神はたった一人立ち向かい、それだけの時間を持ちこたえた。
 そして勝利は絶望的と思われた戦いの果て、魔王神と相討ちとなったのである。

 なぜ、と魔王神は問うた。己の勝利を確信していた戦いにおいて、相討ちとは言え自らが果てる事に驚きを隠せずに。
 光明神は答えた。
 「俺の背中の向こうには、守るべきものがある。何よりも俺が愛している人々がいる!
 彼らが俺を信じ崇めていてくれる事が、俺の勇気になり、何度でも俺を奮い立たせてくれる……!
 それが、何も守るべきものを持たないお前と、俺の違いだッ!!」
 まるで打ち切られた漫画の最終回のような言葉とともに繰り出された剣の一撃は魔王神を倒し、その後、光明神自らも力尽き果て。
 かくて地上から魔王神の脅威は去り、人々には平和が戻ったのだと伝えられている。

 

 それから幾星霜の時を経た今。
 大陸は、再び邪悪なる者の脅威に晒されんとしていた。
 かつて滅びたと思われていた魔王神の欠片から生まれた、幾多の魔王が大陸中に発生。魔物を統率し、人間社会への攻撃を始めたのである。
 彼ら魔物、そして魔王は、神の眷属たる人間を滅ぼし、世界を掌中に収めんとする意志を受け継ぐ者。平和が乱されるのは必然であった。

 しかし、人間たちも忘れてはいなかった。
 愛と勇気をもって立ち向かい、たった一人で魔王神の軍勢を退けた光明神の存在を。
 そして人々の期待に応えるかのように、その魂を受け継ぐ者たちが、一人、また一人と大陸に生まれ落ちたのである。

 彼らはみな揃って、素晴らしい勇気の持ち主であった。
 ――それが時として、トラブルを招く事にもなれど。

 また同時に人を深く愛し、また愛される心の持ち主であった。
 ――やたらと個性的な異性を、複数人惹きつけてしまう事が多々あったりもすれど。

 そして彼らが愛と勇気をもって戦いに赴くとき、決まって奇跡が起こるのであった。
 ――それはかつて伝説の時代、光明神が魔王神を倒した時のように。

 人は彼らを呼ぶ。
 勇気ある者――勇者、と。


・んで結局コレ何よ?・ 

 「Loving Brave!」、略してらびぶれ。ラブコメTRPGです。らび☆ぶれとか言っても構いません。
 TRPGって何よ、という基本的な部分に関しては割愛するとして――
 要するに、主人公の男と多数のヒロインの関係から成るハーレムラブコメものを、TRPGという媒体において、ライトファンタジー世界を舞台に再現するためのシステムなんだとお考えください。
 本作はライトファンタジーを舞台としており、勇者だの魔王だのといったありがちな用語が飛び交いますが、基本的にGMとPCがそれぞれ操るキャラクターの間で人間関係が閉じる、小さな共同体の中でのラブコメを楽しんでいただくために作られました。
 要するに、GMの操る「勇者」と呼ばれる男キャラ――彼らの大半は、鈍感で、奥手で、ちょっとスケベだけどそれを認めたがらず、そして馬鹿です――と、彼と運命的に出会い、その下に惹かれるようにして集まった、美しくも個性的で、そしていわくつきの人生を送っているであろう女性PC数名による、愛とトラブルまみれの楽しい日々を送っていただきましょう。という趣旨なわけです。



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