本作は変身ヒロイン・魔法少女陵辱ものである事を謳っていますが、その延長上として、無残に敗れ、快楽に堕ちたヒロインの姿を描く為のルールを、それを描くためのバックボーンとなる悪の軍団の管理ルールとともに、オプションルールとして導入しています。
 どちらかと言えば、キャンペーンやコミュニティプレイなど、長期に渡るプレイ向けのオプションルールです。例えばキャンペーンの途中で堕落判定に失敗し、PCとしてはゲームから取り除かれてしまったヒロインが、悪のコスチュームに身を包み、かつての仲間たちも共に闇に引き入れんとするのは、この手の作品における王道のひとつと言えましょう。それをTRPGで再現する楽しみを、是非味わってみてください。

 以下、『悪の軍団管理ルール』とこのオプションルールを呼称します。


【悪の軍団の結成】

 悪の軍団は、モンスター作成ルールに則って上位魔族(ナイト級以上のモンスター)を作るところから始まります。
 この上位魔族こそが悪の軍団の首領となり、ヒロインたちを苦しめ、堕とす存在となるのです。

 悪の軍団は、最初、((首領の【知力】×10)+30)点の"ミアスマ"を保有しています。
 ミアスマとは、モンスターの作成や、首領が自身の能力を強化したりするのに必要な、瘴気とも呼ぶべきエネルギーです。手っ取り早く表現するならば、悪の軍団を運営するための資金と考えても構いません。
 軍団結成の時点において、ミアスマは以下のような使い方ができます。

《モンスターを作成する》
 ポーン級は1点、ルーク級は3点、ナイト級は10点、ビショップ級は20点のミアスマで作成する事ができます。
 ただし、首領と同じまでのランクで、かつビショップ以下のモンスターしか作成する事はできません。
《ダークヒロインを獲得する》
 50ミアスマを消費する事で、3レベル・SP20の能力を持った、NPCのダークヒロインを取得する事ができます。
 詳細なダークヒロインの能力については後述します。
《首領の能力値を成長させる》
 成長させたい能力値の現在の値×2のミアスマを支払って、能力値を1上昇させる事ができます。 
 この成長によって、モンスター階級に基づいた作成時点での能力値の上限を超えても構いません。
《首領に新たな魔法を取得させる》
 10ミアスマを支払う事で、新たな魔法を取得できます。
《首領を昇格させる》
 50ミアスマと20侵略点を同時に支払う事で、ナイトからビショップへの昇格を行う事ができます。
 同様に、100ミアスマと40侵略点をを支払う事で、ビショップからキングへの昇格を行う事ができます。
 昇格した際は、モンスター作成ルールに従って、能力値の再計算や、魔技、モンスター属性の追加取得等を行ってください。
 (従前の階級との差分を充当するよう処理してください)
《トラップを獲得する》
 使い捨てのトラップを取得できます。必要なミアスマは以下の通りです。
トラップ 必要
ミアスマ
ポイズニックニードル各種 2
シンデレラメイカー 2
バインドジェル 3
アシッドジェル 3
インモラリィプール 4
イビルアイ 1
ウィッチハント 7

《余ったミアスマを侵略点と交換する》
 5ミアスマと引き換えに、侵略点2点を得る事ができます。
 侵略点とは、その魔族キャラクターが人間社会に深く影響を及ぼすための社会的な余力です。
 例えば、利己のためにその魔族に協力する人間の財力やコネであるとか、その魔族が縄張りにしている人気のない場所の余剰面積だとかです。 《施設を獲得する》
 施設を獲得します。この処理に限り、ミアスマではなく侵略点を消費します。  

 【ミアスマと侵略点の獲得】

 セッションを終えた悪の軍団は、対峙したヒロインたちの獲得したCPの合計値に等しいミアスマを獲得します。
 加えて、対峙したヒロインたちの獲得したSPの合計値に等しい侵略点を獲得します。

 これらは通常、GMを行った事によって得られる経験点の代わりに与えられるもの、と考えてください。

 ただし、これらの報酬が正常に得られるのは、セッションにおいてPCたるヒロインが勝利した場合のみです。ヒロイン側が全滅した場合は、これらの獲得量は半分になってしまいます。
 これは何故かと言うと、ミアスマ――すなわち瘴気は、淫らな堕落の誘惑と戦おうとするヒロインの強い意志と魔力が肉欲とせめぎ合う時こそ、高い純度のものが淫気から得られるからです。
 (メタ的には、"あくまでPCであるヒロイン側が基本的には勝利するべき"という考えに基づくものです)
 得られる侵略点も半分になってしまうのは――まあ、ご都合ですが、単純にゲーム処理上、ややこしくしないための都合です。


【軍団の維持・運営】

 さて、せっかくの軍団ですから、効率よくヒロインと戦いたいものです。そのためには部下を操り、人間界侵略に活用しなければなりません。
 基本的には、軍団結成時と同じ事ができます。ただし《ダークヒロインを獲得する》と《余ったミアスマを侵略点と交換する》の処理は、既に動き出している軍団は使用する事ができません。代わりに、施設を利用して恩恵を得る事ができますので、それを活用しましょう。
 また、ダークヒロインや首領を含め、モンスター、悪の軍団の構成員の負った傷は自然回復しません。
 ミアスマ1点につき【DP】を10回復させる事ができます。この処理で回復してください。

 また、戦闘中に【DP】が0以下となった配下のモンスターは、基本的に死亡します。施設[再生槽]があれば格安で復活させる事ができますが、そうでなければ作成時点と同等のミアスマを支払って、同じ能力のものをもう1体作る事でしか補充はききません(設定上、生き返らせたという事にしても良いでしょう)。
 なお、ダークヒロインは【DP】が0になっても死亡しません。単にそのセッションでは戦闘参加できなくなるだけです(ミアスマを使った回復措置は必要ですが)。


【ヒロインの悪堕ち】

 悪の軍団管理ルール下で行われるセッションで敗北したPCは、(PLとGMの合意がある事を前提として)悪の軍団に所属するダークヒロインとなります。
 ダークヒロインとは文字通り、快楽に敗北し、悪に堕ちたヒロインであり、ご主人様たる魔族のため、そしてかつての仲間を共に快楽の淫獄へ堕とすためにヒロインとしての力を振るいます。

 ダークヒロイン化の条件は少々複雑で、
『悪の軍団の首領、もしくは所属する敵に対してランク3以上の思慕もしくは敵対エモーションを持っており、なおかつその対象に倒された上で、堕落判定に失敗した場合』です。
 敵味方という立場にありながら愛してしまった相手の元へ堕ちるのか。
 あるいは、宿敵に対して屈辱的な隷属を強いられて逆らえないか。そんなところです。

 データ的には、全てのクライシスアクトとクライシスアビリティを失います。
 代わりに、ダーククライシスアクトとダーククライシスアビリティを得ます。ただし、ダーククライシスアクトは通常のクライシスアクトと違い、1キャラにつき3つしか所持できません。ダーククライシスアビリティも1キャラにつき1つだけです
 魔法も全て使えなくなりますが、代わりに従前持っていた魔法と同じ数だけの魔技を習得します。加えて、【HP】は【DP】に変更されます。ヒロインの敵となったダークヒロインに必要なのは、悪を討つ聖なる力と陵辱に耐える耐久力ではなく、ヒロインの聖なる力と戦うための邪悪な力なのです。
 また、【SP】はダークヒロインとして堕ちた瞬間から変動しなくなります。ご主人様となった魔族の性欲の捌け口にならないわけではありませんが、ダークヒロインとして堕ちた者は、身も心も犯される事を受け入れ、奴隷として既に完成されている存在だからです。

 こうして、半ばモンスター、半ばヒロインというデータに変わったPCは、以後、軍団の重要な兵力兼性奴隷としての日々を送る事になります。


【組織の最期】

 悪の軍団はいつか滅びます。それが美学というものです。
 悪の軍団管理ルールを用いた本作の悪の軍団もその例外ではなく、首領が戦闘不能に陥った時に、その可能性を孕みます。
 具体的には、首領への『思慕』もしくは『敵対』エモーションを3ランク以上持っているヒロインの攻撃によって首領が戦闘不能になった時、とどめの一撃によって首領の【DP】が0を下回った場合に、下回った値をそのまま目標値として、首領の任意の能力値で判定を行ないます。
 これに成功すれば、重傷は負ったものの一命を取りとめたとみなします。しかし、失敗すれば、首領は死亡――悪の軍団は霧散する事となってしまいます。

 なお、首領の生死判定については、未使用のミアスマ5点を消費するにつき+1D6の、保有している施設をひとつ犠牲にするにつき+2D6の修正を受ける事ができます。


【ダークヒロインの出戻り】

 悪の軍団が滅びた場合、その組織に所属していたモンスターは消滅し、施設も失われます。
 唯一残る可能性があるのが、その組織にダークヒロインとして所属していたヒロインです。
 彼女らの前には、4つの道が残されます。

《1.ノーマルヒロインに戻る》
 友情の力やカルテルの更正措置などによって、ノーマルヒロインに復帰します。
 データ的には、かつてヒロインだった頃の能力に戻る事になります。

《2.別の悪の軍団に仕える》
 主人を変えて、今まで通りダークヒロインとしてゲームに参加します。
 この際、新たな主人が首領を務める悪の組織は50ミアスマを支払います。

《3.自らが首領になる》
 それまでゲームに参加していたダークヒロインとしてのデータを削除し、新規のナイト級以上のモンスターを作成してください。
 設定や人間関係は引き継ぐものの、データ的には新規キャラクター(モンスター)という形です。

《4.自発的にゲームから取り除かれる》
 ご主人様だった魔族に殉死するのか、それとも戦いを離れてひっそりと生きるのか。
 いずれにせよ、軍団の崩壊が、キャラクターとしてゲームに参加する上での引き際となる事もまたあるでしょう。


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