オリジナルTRPG『Day By Day』は、ほのぼのライトファンタジーTRPGです。
 魔王亡き後の平和な世界、その世界の中の1つの街を舞台として、PCは街の住人という立場で行動します。

 PCたちは、英雄でもなければ、そうなれるだけの素質を秘めた人々でもありません。
 そもそも、この世界には倒すべき巨悪は既に無く、英雄など必要とされていないのです。
 それでも、キャラクターの生涯は山あり谷あり。そしてセッションという瞬間におけるドラマがきっとあるはず。
 そうして生きていく人々が折り重なって紡がれる物語……
 『Day By Day』は、PLみんなで"ひとつの街"という世界を完成させるゲームなのです。

【世界観について】
 基本的には、よくあるファンタジーRPG世界を想像してくれて間違いありません。
 一部、黒色火薬銃など、現実世界で言う15世紀あたりの文明が出回ってはいるものの、それでも戦場の主役は剣であり騎士です。
 恐ろしい竜や魔獣も存在していますが、伝説に謳われる『聖なる王』によって魔王が討伐されて以来、彼らはすっかり鳴りを潜めるか、人間に与するかしてしまいました。それこそ、ペット用に品種改良された竜が存在するほどに……

 魔王亡き後の世界は、すなわち人間と、人間に近しいごく一部の種族が覇者として君臨する世界でもあるのです。
 だからこそ、街が平和に、ほのぼのと暮らしていられるわけでもあるのです。

【王国について】
 PCたちが暮らす街は、伝説の"聖なる王"の血族が治める国、『アゼルハイト王国』の領土に存在します。
 気候は温暖にして湿潤、現代日本ほどではないものの四季の彩りが豊かで、肥沃な土地の広がる快適な環境の国家です。
 かつてはこの地に蔓延っていた魔物たちもすっかり姿をひそめ、戦争からも遠ざかっており、至って平和そのものな日々が続いています。
 街の周囲にありえる危険と言えば、野犬の群れやちょっとした災害ぐらいのものでしょう。ごくまれに、運悪くゴブリンの群れなどが近くに住み着いてしまう田舎街などもあるでしょうが……

【標準的な街】
 多くの街は、人口3000〜7000人程度の規模から成ります。大都市になれば10000人を超える事もありますが、そう多い例ではありません。
 そして、全ての街には町長が存在し、街レベルでの政治を取り仕切っています。多くの場合、役所の職員の中から立候補した者のうち、住民投票で最多得票した者が、一定の任期で町長職に就きます。
 もうひとつ、ほとんどの街に必ず存在するのが、『公立自警団』です。
 かつて魔物がこの地に蔓延っていた頃、その数は果てしなく多く、王国の所有する軍隊だけでは辺境までは手が回らないのが実状でした。そこで考案されたのが、民兵による自警団を街ごとに結成し、自衛をさせようというものだったのです。
 とはいえ平和な現在に至っては当時のような兵役義務の制度もなくなり、自警団の役目も、魔物から街を守ることではなく、街の治安を守る警察組織へと推移しています。
 とはいえ所詮は民兵の集まりによる警察組織なので、戦闘能力も捜査能力も、そこまで秀でているわけではありません。迅速な解決を求める場合などは、PCたちが直接動いた方がきっと速いでしょう。

【教育水準と学術機関】
 アゼルハイト王国の住人は、ほぼ100%の識字率を誇っており、ファンタジー世界としては比較的高い教育水準を誇っています。
 と言うのは、王立魔学アカデミーの存在によります。
 これは学問を奨励する先々代の王の政策により創立された機関で、王都グランシアから発足した研究機関です。設立当時から現在に至るまで、一貫して魔法技術の発展、および錬金学の研究を行なっています。
 この世界における錬金学とは、最終的に『世界の森羅万象を極め、無から金を作り出す事』を目標としつつも、さまざまな化学的な内容の実験を繰り返している事を指します。現実世界で言えば、理化学系の国公立大学院に当たる存在です。
 魔法技術の開発に関しては、新たな魔法を編み出す事も勿論ですが、PCたち一般市民に親しみ深い点として、市販マジックアイテムの研究開発、および運用保守や点検などを行なっています。現実世界で言えば家電製品の開発に当たる仕事でしょう。もっとも、彼らは企業の人間などではなく、あくまで王命の下、国家管理の中において技術開発を行なっているという違いはありますが……

 現在では、アカデミーで高等教育を修めた者は、15〜18歳ほどを境として、そのままアカデミーの研究員になるか、あるいは地方都市へ学問の啓蒙のために向かうかというパターンが多く見られます。
 後者は何をするかというと、分校や私塾の開設に当たるのです。
 分校にはいろいろあり、予算に応じて数人規模の私塾レベルのものから、本格的なものまで種々雑多あります。とはいえ王都ほど研究機関がしっかりしている場所はそうそうありませんので、町人たちのマジックアイテムにトラブルが起こった際の便利な相談相手となってしまう場合も多いでしょう。
 ですが、彼らの最大の役目は、街の子供たちの初等教育にあります。
 8〜12歳程度の子供たちに、2〜3年ほどかけて初等教育を施すのが彼らの役目です。その内容は基本的な読み書きや算術に始まり、基礎的な錬金学や魔法の基礎理論、簡単な歴史、政治関係の話にまで及びます。
 このため、この世界の住人たちは非常に高い識字率を持つ他、多くの者がいくつかの基礎的な魔法を使いこなせるのです。

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